施工状況把握チェックシート(寒中コンクリート版)
国土交通省東北地方整備局が2015年12月に公表した「コンクリート構造物の品質確保の手引き(案)(橋脚、橋台、函渠、擁壁編)(道路部のHPからダウンロード)」は、寒中コンクリートも対象とした内容となっており、品質確保のツールとして寒中コンクリート用の施工状況把握チェックシートが導入されています。
寒中コンクリート用の施工状況把握チェックシート(Excelシート)
この寒中コンクリート用施工状況把握チェックシートは、山口県のシートをベースに開発されたもので、2013年の冬から青森河川国道事務所管内の工事で試行が進められ改良が重ねられました。その内容は、道路構造物ジャーナルNETで連載されているコンクリート構造物の品質確保物語でも紹介されています。また、この記事では寒中コンクリートの施工の留意点と工夫例もまとめられていますのでご覧ください。
道路構造物ジャーナルNETの品質確保物語F「寒中コンクリートを用いる構造物の品質確保」
チェックシートの開発段階で実施されたコンクリート構造物の品質調査において、面的な微細ひび割れの発生が多くの構造物で確認されました。その後の調査研究により、この面的な微細ひび割れはコンクリートの初期養生と密接に関連し、緻密性にも影響する場合があることが指摘されています。そこで、寒中コンクリート用施工状況把握チェックシートでは、養生段階で急激な温度変化や乾燥を受けないよう配慮することが示されています。そのため面的な微細ひび割れを抑制する観点からも追加養生が重要となります。以下の記事に詳細がまとめられています。
養生〜橋梁下部工・函渠工を対象とした追加養生による緻密性の向上〜
2)阿波 稔・迫井裕樹・金濱巨晃・音道 薫:函渠工・橋梁下部工におけるコンクリート構造物の品質確保の取組とその検証,コンクリート工学年次論文集,Vol.38,pp.1611-1616,2016.7
3)高橋 雅・佐伯岳洋・小穴信太郎・阿波 稔:橋梁下部工におけるコンクリート構造物品質確保への取組み,コンクリート工学年次論文集, Vol.38,pp.1605-1610,2016.7